母乳をたくさん出すための準備

妊婦授乳

妊娠中、赤ちゃんが生まれてからきちんと母乳をあげることができるか不安に思っているお母さんも多いのではないでしょうか。

私自身、実の母が母乳育児に苦労した話をきいていたこともあり、母乳が出ないのではないかと不安に思っていました。

そこで、私が妊娠中や産後に気を付けていたことや、助産師さんから聞いた母乳をたくさん出すための準備方法をお伝えします。

まずは赤ちゃんが吸いやすいおっぱいを目指す

お母さんの乳首はどんな形をしていますか?

乳首の形は人それぞれです。私の場合は、妊娠8カ月くらいのときに、産婦人科の助産師さんから「おっぱいの状態を確認したいから乳首を見せて」と言われました。

それから乳首の硬さや伸びを確認し、赤ちゃんが吸いやすい乳首を作るための、おっぱいのマッサージを教わりました。

吸いやすいおっぱいを作るマッサージ

私が教わったのは、親指と、人差し指・中指で乳首をつまむように持ち、そのまま円を描くようにマッサージする桶谷式というマッサージの方法です。

この時、指が白くなるくらい強めに力を入れてマッサージすると効果的だと言われました。正直初めはかなり痛いと思います。

私も痛いのが嫌で、1人目の妊娠中はあまりマッサージをせず、サボってしまいました。

マッサージをサボるとどうなるか

赤ちゃんがおっぱいを吸うときの吸引力は非常に強く、シェイクを一気飲みできるくらいだとも言われています。

この力で何の準備もしていないおっぱいを吸わせてしまうと、乳首に負担がかかり、裂傷や血豆ができるといったトラブルが起きてしまいます。

1人目妊娠中に、痛いのが嫌でマッサージをサボってしまった私は、産後3日目に乳首に血豆ができて、大変痛い思いをしました。

その後も血豆は頻発し、酷い時には乳首の付け根に裂傷ができたこともあります。それでも初めは母乳を与えていたのですが、血豆のできた乳首はおっぱいを与えるたびに痛み、さらに傷が回復するよりも先に新たな傷ができる悪循環に陥ってしまいました。

こうして、痛みのあまり母乳育児を断念する結果になってしまったので、マッサージをサボったことには後悔しかありません。

妊娠の進み具合や、お母さんの体調にもよりますが、妊娠中の乳首のマッサージはとても重要だと学ぶ結果になりました。

赤ちゃんが吸いやすいおっぱいとは

このことから、2人目妊娠中にはマッサージをきちんと行いました。助産師さんによると、理想の乳首はふわふわと柔らかく、引っ張ると3㎝くらい伸びる状態だそうです。

伸びのいい乳首は、赤ちゃんが強い力で吸っても傷付かず、赤ちゃんにとっても深く口にくわえることができるので吸いやすいおっぱいになります。

マッサージのおかげか、2人目の妊娠中には助産師から「赤ちゃんが吸いやすそうなおっぱいだね」とお墨付きをもらうことができ、産後も裂傷や血豆ができることなく、母乳育児を続けることができました。

妊娠中にマッサージを行う上で注意すること

注意して欲しいのは、妊娠中にお腹の張りがきつかったり、早産の恐れがある人は、乳首のマッサージをしてはいけないということです。

必ず、助産師さんや産婦人科の先生の指導を受けてマッサージを行い、お腹が張ったと感じた時には休憩しましょう。

妊娠中にマッサージができなかった場合や、妊娠中のマッサージが不十分だった場合でも、産後に根気よくマッサージを行えばトラブルを回避できます。

母乳に必要な栄養素を摂取する

母乳はお母さんの血液から作られます。そのため、お母さんが栄養不足になると母乳がうまく作られないことがあります。

妊娠中同様に貧血に注意する

妊娠中には定期的に血液検査を行い、貧血になっていないか確認してくれますが、産後となるとそうはいきません。

特に妊娠中に貧血があった場合、お母さんの体は慢性的に血液の成分が薄くなってしまっている可能性があります。

そうなると、充分な量の母乳が作れなかったり、母乳の栄養が薄くなってしまいます。
お母さん自身が気を付けて鉄分を摂取し、貧血にならないよう注意しましょう。

産後の食生活も大切

また、タンパク質やカルシウムなどのミネラルも母乳にはなくてはならない栄養素です。母乳の栄養素が薄いと、赤ちゃんがいくら飲んでも満腹感が得られず、結果的によく泣くことで「母乳不足なのでは?」と不安になってしまうことがあります。

産後は忙しく、自分の食事を疎かにしてしまうという話もよく聞きます。私も1人目が生まれた直後は、自分のことは後回しにしてしまい、食事を抜くことも多くありました。

今思えば、それも母乳が出辛かった原因だったのだと思います。お母さんの体が飢餓感をおぼえてしまうと、母乳は出にくくなります。

レトルト類でも食べないよりはいいので、忙しくて自分の食事を後回しにしてしまっているお母さんは、まずは手軽に食べられるものでも、3食ちゃんと食べることを目標にしましょう。

母乳をスムーズに出すために避けた方がいい食べ物と積極的に摂りたいもの

母乳の質を高めるのに理想的な食事は、日本食だと言われています。日本食は魚や野菜を中心としたメニューが多く、高タンパクで低脂肪です。

お母さんが高タンパクで低脂肪な食事を心がけていると、母乳はサラサラとしていて詰まりにくくなります。また、ほんのり甘くさっぱりした、赤ちゃんにとってもおいしい母乳になるそうです。

逆に牛肉や生クリームなどに多く含まれる動物性の油脂は、母乳詰まりの原因になりやすいため避け、鶏肉や魚などの油の少ない肉類や、ミネラルの多い海藻や小魚などを意識して食べるようにしましょう。

また、母乳を作るには、多くの水分も必要になります。母乳のもととなる血液を作るのにも、水分は欠かせません。

産後は自分で思っている以上に、体の水分が失われることを念頭に置きましょう。食事の際には一緒に汁物を摂るなど、工夫して水分の摂取量を増やすのも、母乳をたくさん出すには有効です。

血行を良くして、乳腺を刺激する授乳前のマッサージ

おっぱいが良く出るマッサージとして、授乳前にするよう教わったマッサージもあります。

授乳前に行うマッサージ

桶谷式のマッサージで、息を吐きながら、左右の手を重ね、乳房全体を付け根からすくい上げるように持ち上げるマッサージです。

左右の乳房を持ち上げたら、今度は側面から、乳房の付け根から内側に押しやるように動かします。

それも左右行ってから、次に胸の内側から、外側に向けて押します。乳房のマッサージの後には、続けて乳首のマッサージを行うとより効果的です。

もしおっぱいが動きづらく、体に張り付いてしまっているように感じたら、そこを重点的にマッサージするよう教わりました。

おっぱいに起こりがちなトラブル

産後すぐは、おっぱいが出にくかったり、逆におっぱいが張りすぎて苦しく感じる人も多くいます。

赤ちゃんが吸いやすいおっぱいは、つきたての餅のように柔らかく、ふわふわしているおっぱいです。

逆に乳腺が詰まりはじめると、おっぱいは体に張り付いたように硬くなり、マッサージをしても乳房が動きにくくなるでしょう。

このまま放置するとますます硬くなり、痛みが出たり、岩や小石のようなしこりになってしまいます。

多くの場合は赤ちゃんにしっかり吸ってもらうことで解決しますが、あまり酷くなると寒気や高熱を引き起こす乳腺炎になってしまう可能性もあるため、マッサージはなるべく頻回に行い、乳房に硬くなった部分やしこりがないかチェックしておきましょう。

しこりや痛みなど、気になる症状がある場合には、母乳外来や産婦人科、助産院などで診察やアドバイスを受けることができます。

授乳中の姿勢

授乳中の姿勢や乳首のくわえさせ方によっても、おっぱいの出る量は大きく左右されます。

理想的な姿勢は背もたれのゆったりともたれ、赤ちゃんとお母さんのおへそをくっつけるように横抱きにした姿勢です。他にもフットボール抱きや、縦抱きといった方法があります。

しっかり授乳するためのポイント

授乳中に大切なのは赤ちゃんがお母さんの乳首を深くくわえられていることで、赤ちゃんがアヒル口になっていると深くくわえられていると教わる人も多いと思います。

しっかり乳首をくわえられている赤ちゃんは、唇の端を軽くめくると、乳首に舌を巻きつけておっぱいを吸っているのが観察できます。

逆に浅くしかおっぱいをくわえられていない赤ちゃんは、チュパチュパと音を立てて吸っていることが多いそうです。

私も1人目のときにはこの音に満足して吸わせた気になってしまい、看護師さんに注意されたことがありました。

赤ちゃんが浅くおっぱいをくわえて飲んでしまう浅飲みの習慣がつくと、一部の乳腺からしか母乳が出ず、母乳詰まりや乳腺炎などのトラブルが起きやすくなったり、乳首にも負担がかかり、傷ができやすくなるそうです。

よい姿勢で授乳するには

お母さんの姿勢も重要で、特に注意したいのが、お母さんの猫背です。授乳中の赤ちゃんは可愛いですし、ちゃんとおっぱいが飲めているか心配で、ついついのぞき込んでしまうお母さんも多いでしょう。

しかしあまり赤ちゃんに夢中になっていると、ついついお母さんの姿勢が崩れ、猫背になってしまうことがあります。

猫背などで姿勢が悪くなると、肩こりの原因になり、血行不良によって母乳の生成量が落ちてしまいます。

ただでさえ新生児期の赤ちゃんの授乳は頻回で疲れやすいため、背もたれなどに軽くもたれて、できるだけゆったりとした姿勢で授乳するといいでしょう。

肩こりは睡眠不足やストレス、疲労によっても起こります。ストレスが母乳の生成量を少なくしてしまうこともわかっていますから、母乳を増やすためにも、休める時にはなるべくしっかり休むことも大切になります。

まとめ

母乳の栄養素や量は、目に見えるものではありませんから、母乳育児に不安を感じている人は意外と多いものです。

母乳を断念する理由の多くが、母乳の量への自信のなさだという話もよく聞きます。私もよく子育て相談窓口に相談に行ったものですが、赤ちゃんの体重増加が順調で、しっかりとおしっこが出ているようなら、あまり不安を感じる必要はないそうです。

最初は慣れないマッサージや授乳姿勢に戸惑うかもしれませんが、赤ちゃんに母乳をあげられる期間は、これから長く続く子育ての中でも特に、大切なお子さんをたくさん抱っこする期間になるでしょう。

母乳をたくさん出すためのポイントを押さえて、自信をもってかわいいお子さんにおっぱいをあげてくださいね。

授乳期間は、母子の絆を育むすばらしい時間になると思います。